引き返し編み
- 引き返し編みは、増減をする技法ですが、編み目を針につけたまま増やしたり減らしたりします。肩下がりやダーツ、靴下のかかとなどにも使われます。
- 「編み残しの引き返し編み」と「編み進みの引き返し編み」があります。
- 「編み残しの引き返し編み」は、目を減らしていく方法で、右側(右下がり)と左側(左下がり)があります。
- 「編み進みの引き返し編み」は、目を増やしていく方法でこちらも左右で編みかたが違います。
- 段の境目の穴をふさぐために、かけ目をして境の目は編まずに滑らせます。
- かけ目の分は目数には数えません。かけ目+すべり目で1目分です。
編み進みの引き返し編み(練習)
- 「編み進みの引き返し編み」は、目を増やしていく方法です。 裾線がカーブになっているデザインや靴下のカカトで使います。
- 上の編み図で練習してみましょう。黒で塗りつぶされているところが編まないところです。
- まず12目を作り、準備の段を数段編みます。(黒く塗りつぶされている下)。※別に編まなくてもかまわない
- 引き返しの1段目を編みます。この場合、操作は2段目と3段目で行います。
表を見ているので、 1段目は右から左へ表編みを5目編んできます。(7目を休ませる)編んだら編み地をひっくり返し、裏を見ます。 - 2段目は、編み地を持ち替えたら、最初は右の針にかけ目をします。裏からのかけ目なので糸を手前側からかけます。
その次の目はすべり目です。すべり目というのは編まずにそのまま目を左から右に移動させるだけです。
2段目はそのまま続けて裏編みを終わりまで編みます。 - 3段目は、編み地を持ち替えて、かけ目の手前まで表編みで進んできます。(4目めまで)
かけ目まできたら、かけ目したところ(5目め)と、その次の目(6目め)を、左側から2目一緒に針を入れて一緒に編みます。
かけ目で1つ増えてしまったので、ここで調整したわけです。穴を開けないためです。
編み残しの引き返し編み(練習)
- 32目作り目をし、メリアス編みを2段編みます。 3段目(前衿ぐり)からは、左右別々に編みます。
- 右側13目を表から編みます(3段目)
- 編み地をひっくりかえし、裏から4段目を編みます。編み始めは2目の減目(右上2目1度)なので編み目数は11目。
- 5段目は増減なしに、表から11目を編みます。
- 6段目から左肩(右下がり)の引き返しをします。裏側から8目編み、3目を針に残します。
- 7段目は、編み地をひっくり返し、右側にかけ目をして、左目を右針に滑らせます。残りの目を編みます
- 8段目は、4目を裏から編み、残りを針に残します。
- 9段目は、編み地をひっくり返し、7段目と同様にかけ目と滑り目をし、残りの目数を編みます。
- 10段目は段消ししながら、裏目で全目を編みます。
段消しは、かけ目の処理をしながら(穴が開かないように)1段編むことです。
※裏目で段消しをする場合は、かけ目と次の目を入れ替えて2目1度で編みます。
- 糸を切り、針に残った目は別糸にとっておきます。
- 左3段目。左下がりの肩を編みます。糸は、1つ手前の目でつけます。6目を伏せ止めし、そのまま表編みで13目を編みます。
- 4段目は裏から13目を編みます。
- 5段目は衿側の減目2をして、表から11目を編みます。
- 6段目は裏から11目を編みます。
- 7段目から肩(左下がり)の引き返しが始まります。7段目は3目残し、編み地をひっくり返します。
- 8段目は、かけ目と滑り目をし、残りの目を裏から編みます。
- 9段目は、4目を表から編み、編み地をひっくり返します。
- 10段目は、かけ目と滑り目をし、残りの目を裏から編みます。
- 11段目は、段消しをしながら表から1段編みます。
※右側と左側では1段、段数が変わります。
左下がりの段消しは、目の入れ替えはしません。そのままかけ目と下の目を2目一度で編みます。 - 肩はぎに必要ない糸を残して切ります。編み棒にかかっている目は、別糸にとっておきます。
Wrap & trun(ラップアンドターン)
- 海外の編み図によく見られる引き返し編みです。(靴下のかかとなど)
- wrap and turn 、直訳すると、「くるんで戻る」ということですが、段差の調節(穴が開かないように)をするために、糸を渡らせる編み方です。
渡った糸は反対側の目として残るので、あとで一緒に編みます。
German short-row という技法です。 糸を反対方向に回り込ませます