晩秋の暮坂峠(2002/11/3)
前日になって突然「紅葉見に行こうか?」と亭主。今年は忙しいので紅葉狩りは半ば諦めていたのだけど、この一声で日曜日のお出かけが決まった。
朝は遅めに起き、それからのそのそとWebで紅葉情報を調べた。あまり早くない時間に出かけて行って、紅葉を見て日帰りできる場所というとそう遠くまでは行けない。温泉にも入りたいし・・・
紅葉時期のドライブは栃木方面が多いので、今年は群馬に行くこととなった。
紅葉狩りと決めたのは、数年後には村ごとダムの底となってしまう「川原湯温泉」&吾妻渓谷。
吾妻渓谷へは「ロマンチック街道」と呼ばれる道を通るしかないのだが、これが大渋滞。 ほとんど動かない状況に陥ったので、ロマンチック街道からユーターン、川原湯温泉は諦めて暮坂峠へと向かった。結果的には大正解で、暮坂峠越えはガラガラだったし、木々の紅葉具合もも100%に近かった。
天候はといえば、 出掛けには雲ひとつない真っ青な秋空だったのに、暮坂峠では雪が舞い始めて初雪にお目にかかれた。やがて雪は雨に変わり、雨の峠越えとなった。1日の天候の変化はめまぐるしく、晴れ→曇り→雪→雨→曇り→晴れ・・・(^^;)
暮坂峠は、歌人・若山牧水がロマンチックな詩に詠んだ地である。牧水のブロンズ像と詩碑が頂上付近に建てられている。
若山牧水は、明治18年に宮崎県の東郷町に生まれた。長じて早稲田大学に学び、大学卒業後は清貧を貫き多くの素晴らしい歌を残した歌人である。
画像にある詩碑の内容は、牧水が暮坂峠を越えるときの思いを詠んだものだ。
塩分の強い草津の湯に入った後に、 やわらかい沢渡温泉 の湯に入るのが、牧水の好みのコースだったのだろうか? と考えてみたが、調べてみるとこれは違っていた(^^;)
実際は弟子との長い徒歩旅行の途中で書かれたものらしい・・・
枯野の旅
乾きたる
落葉のなかに栗の實を
濕りたる
朽葉(くちば)がしたに橡(とち)の實を
とりどりに
拾ふともなく拾ひもちて
今日の山路を越えて來ぬ
長かりしけふの山路
樂しかりしけふの山路
殘りたる紅葉は照りて
餌に餓うる鷹もぞ啼きし
上野(かみつけ)の草津の湯より
澤渡(さわたり)の湯に越ゆる路
名も寂し暮坂峠